修理カルテ

ROREX

● GMT-MASTER 1560

長野市 M様からの依頼品

このGMT-MASTERには魅力的な逸話が多い。
まさに今回依頼の赤青ベゼルGMTマスターは、石原裕次郎が『太陽にほえろ!』で着用するなど公私共に愛用していたので特に有名なモデル。
2000年にGMTマスターは生産終了となった為、現在はⅠがなくⅡのみ存在する。

そこで今回の依頼品だが、少し遅れるということでオーバーホールとリューズの修理。
リューズの件は日本ロレックスからもNGが出たとのこと・・・。
今や部品調達も難しいのか???

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さて、OH開始です。
リューズのことが気がかりですが、先ずはムーブメントのチェックを・・・

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裏蓋を外してみました。
懐かしい王冠マーク入りのローターですね。
蓋裏面にはOHを何回かした軌跡があります。丁寧にメンテナンスしている証拠ですね(^^)

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ムーブはキレイですね。
5~6年に1度くらいのペースでOHしてるようです。

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問題のリューズを外してみます。 ケース側の筒が外に飛び出てきてしまっています。

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文字盤と各針です。
やはりココは年期を感じますね。

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文字盤裏の日車なども腐食なくキレイです。 現行のGMT-Ⅱとは中心の時針車(筒車)の形状が違いますね。

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やはり現行とは違うところが沢山ありますね。

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自動巻機構とローターを裏側から見たとこです。 1番大きく動くローターは汚れが激しいですね。。。

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各部品に選別分解しました。
現行のロレックスもそうですが、ガッチリ造ってありますね。

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地板画像です。
ローターの軌道が黒く変色してますね。これは、腐食でも汚れでもないのですが、どうして変色したかは不明です。

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機械式の原動力ゼンマイもキレイに洗浄しました。
ロレックスで最も多い故障はゼンマイ絡みです。 しっかりと注油しておかないと切れてしまうことも・・・

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1番車(香箱)~5番車(ガンギ車)の配置画像です。

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「少し遅れる」ということでしたので、テンプのチラネジで遅進を調節します。 沢山ネジがついていますが、テンワの回転バランスをとっています。

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テンプはケースに入れてからも個別に取り外しが可能ですのです。
遅進調整が簡単に行えるようになっています。

 

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問題のリューズですが、打ち込み式になっているリューズ受筒もありますが、
防水性を高めるために、ねじ込み式になっています。
1度出てきてしまった受筒をねじ込むことは大変です。 上手くまわらないと、筒そのものを破損し兼ねません。
きっと筒そのものが製造中止になってしまっているのでしょう。
今回は上手くねじ込むことができました。
ムーブほどOHはし易いです。3135はその代表ってとこでしょうか?

 

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今回もケース磨きをしました。勿論、荒削りといったケースそのものの形を変えてしまうことはしません。
あくまでも、小傷を磨く程度です。

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完成です。
リューズもしっかりと収まっていますね。
ありがとうございました。