修理カルテ

SEIKO

● LORD MATIC5601-9000 23J

N様からのご依頼品です。
私の後輩でもあるN様は大のSEIKOフリーク。
今回の依頼品も『LORD MATIC』表記タイプ。
LMはSEIKOを代表する機種です。

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早速修理(オーバーホール)に取り掛かります。
自分で風防を購入し装着しようと試みたそうですが・・・。 この機種は圧着タイプの為断念したとのこと。そうそう手で入るものではありませんね。 防水という観点からも難しいでしょうね。
↑何故難しいかは画像13・14で紹介致します。

2
ケース・風防・防水リング・ムーブメント本体・リューズを外しました。
どのパーツも外すのは比較的簡単ですね。。。 蓋一体型の1ピースケースは分解よりも組み立てに気を遣いますね。

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ムーブメント本体です。
多少浸水跡がありますが、この年代のものとしては非常にキレイですね。

 

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文字盤を外しました。
文字盤下のムーブメントはシンプルですね。 やはり長持ちする機種はデイト無しの方が良いのでしょうか?

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ムーブメントの全分解画像です。

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ゼンマイはキレイに洗浄してしっかり注油します。
ここがオーバーホールの最重要箇所です。 油が無いまま使用するとトラブルのもとになりますね。。。

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ゼンマイは1度注油した後に巻いてみます。
油量が多過ぎても、少なくても良くないので、丁度良い油量になるよう調節します。

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ムーブメントの組上げ画像です。 SEIKOの王道ムーブですね。

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テンプの『受』・『受石』も洗浄・注油します。
かなり小さな部品ですので、細心の注意を払います。 ちなみに右画像上は爪楊枝の頭です。

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文字盤裏の組上げ画像です。
日付や曜日がないタイプですので、シンプルですね。

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ムーブメントが組み上がったらケースに入れて針付けをします。
その後に遅進調整をします。 この辺が1ピースケースの大変なところで、裏蓋があれば良いのにと思いますが・・・。

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調整が終了したら風防を装着します。
ここでは専用の器具を使います。 これが無いとテンションガラスを装着することは難しいですね。

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その後ベゼルを圧着します。
この作業も専用の器具がないと難しいですね。

14
革ベルトを付けて完成です。
調子も良くなり通常使用可能になりました。

ありがとうございました。